『ヤン・シュヴァンクマイエル短編集』
その名のとおり、チェコのアニメ作家、ヤン・シュヴァンクマイエルの短編作品を集めたDVD。「戦闘的シュルレアリスト」などと評されるだけあって、作品はどれも夢とも現ともつかない、まあキ●ガイじみた世界のお話ばかり。
とはいえ、内容はそれほど難解ではないように思う。チェコスロバキア時代、お上から弾圧されていたこともあり、どの作品にも反体制・反権力的なテーマが内包されている。また、エロス、暴力、肉体、死、食といった人間のプリミティブな部分をモチーフにした作品がやたらと多く、これらに対して並々ならぬこだわりがあるのも間違いない。あと、ブラックとすら呼びたくないタチの悪いユーモアや、しょーもない下ネタもお好きなご様子だ。
スクリーンやブラウン管の向こうで起こる頭のオカシイ出来事にただただ爆笑するもよし。システムと芸術のあり方について考えてみるもよし。下の画像にドン引きにならないなら(本編はさらにタチの悪い映像が山盛り)、いろんな楽しみ方ができるだろう。[amazon]
なお、収録作は以下のとおり。
■フード('92)
『BREAKFAST』『LUNCH』『DINNER』の3本からなる連作。
・BREAKFAST
あるオッサン(A)が小さな部屋に入ると、首からマニュアルをぶらさげた別のオッサン(B)が、微動だにせずにテーブルについている。向かいに座ったAがマニュアルを見ると「Bの舌にコインを載せろ」とのこと。指示どおり、Bの舌を引っ張り出して、コインを乗せたら、次は「目ん玉を突け」。AがBの目を突くと、Bの体内からトレイに載ったフランクフルトとパンが登場。Bの足を蹴飛ばしたら耳からフォークとナイフまで。それらをおいしくいただくと、なぜかAが硬直。代わりにBが動けるように。そこでBはマニュアルをAの首にかけ、部屋を後にする。すると、今度は別のオッサンが部屋に入ってくる……。
・LUNCH

レストランで相席になった金持ちと貧乏人。2人でウェイターを呼び止めようとするが、なぜか無視される。すると、金持ちがなぜか自分の洋服を食べ始める。それを見た貧乏人もおっかなびっくりながら、マネをし始める。靴もパンツも食べ、テーブルやイスまで食べてしまったその後は……。
・DINNER

木製の義手に釘でフォークを打ち付けた太っちょジェントルマンが食べようとしているのは(おそらく自分の)手。隣のスポーツマンが食べようとしているのは足。その隣のお姉さんが食べようとしてるのはオッパイ。そして、そのまた隣のオッサンが食べようとしているのがチ●コ!
■石のゲーム('65)
時計が12時を告げると、蛇口からこぼれ落ちた2つの石がバケツに溜まり、オルゴールのメロディにあわせてさまざまな模様を描き出す。しばらくすると石はバケツから放り出され、辺りは静かになる。このゲームは3時間ごとに行われ、そのつど、石は大きくなる。そして、ついにはバケツの底を破ってしまい、ゲームはおしまい。時計の音だけが残される。
■ワイズマントとのピクニック('68)
タンス、レコードプレーヤー、スーツ、チェス盤、ちり取りなどが芝生の上でピクニック。景気のいい音楽をかけたり、フルーツを食べたり、穴を掘ったり、チェスをしたりと楽しそう。夕方になり、それらに落ち葉がつもるとタンスの中から縛られた男が穴へと転げ落ちる。そして、ちり取りがそれを埋める。
■肉片の恋('89)

まな板の上で踊り、小麦粉の入った皿で抱き合う2枚の肉片。このままラブラブな時間が続くと思いきや、フォークで刺されて、フライパンに直行。おいしく焼かれちゃいましたとさ。
■フローラ('89)
ベッドに括り付けられた野菜人間・フローラ(身体の各部が野菜でできている)。身体がどんどん腐っていくが、縛られているからベッドサイドの水に手が伸ばせない……。
■アナザー・カインド・オブ・ラブ('88)
ストラングラーズのヴォーカル、ヒュー・コーンウェルの同題曲のPV。粘土に変身したコーンウェルが粘土ギャルとグチャグチャと混ざり合い……。
■スターリン主義の死('90)
スターリンの胸像を帝王切開すると、チェコスロバキアの元大統領・ゴドワルドの胸像が誕生。すると、黒い手が粘土の労働者を大量生産しつつ、その一方でそいつらの首を吊る。ガイコツがスターリンとゴドワルドのポスターを食い破ると、トウモロコシからフルシチョフが登場。今度は黒い手が大きなのし棒を転がし、小さなのし棒を踏みつぶす。ブレジネフのポスターにスターリンのヒゲが生え、壁に銃弾が撃ち込まれる。そのポスターをガイコツが食い破ると、黒い手が身の回りのありとあらゆるものをチェコスロバキアの国旗の色に染め上げていく。チェコ色に染められたスターリンの胸像を帝王切開すると、次は何が生まれるのだろう。
■プラハからのものがたり('94)
イギリスのテレビ局・BBC制作のシュヴァンクマイエルのドキュメンタリー。インタビューや仕事場の風景など。「『スターリン主義の死』で帝王切開したスターリン像にはブタの内臓を詰めている」という、思わず別のスターリンをイメージしそうな、いらんシュヴァンクマイエルトリビアが満載。
⇒関連リンク:ヤン・シュヴァンクマイエル短編集
【追記】
4/26 「チ●コ」を伏せ字にしました。
| 固定リンク | コメント (2) | トラックバック (3)






Bageshree Vazeというシンガーの『Deewana』という曲のビデオクリップ。情婦だかダンサーだかシンガーだか役のBageshree Vazeと、Bageshree Vazeを見初めた王子様だか王様だかとの世界を舞台にした追いかけっこ。写真のとおり、Bageshree Vaze以外はすべてCGになっている。
頭の悪いレコード屋のポップみたいなフレーズを使わせてもらえるなら「激ヤバっスよ! コレ」。
頭がカセットデッキのチャーリー君は、同じアパートに住む頭がCDプレーヤーのエメラルドちゃんに、気の利いた音楽を聴かせて愛の告白をしたがっている。が、緊張のあまり、いつもテープの頭出しに失敗してしまう。思い悩んだチャーリー君は、やっぱり同じアパートに住む蓄音機おじさん(当然、頭が蓄音機)に相談。話を聞いた蓄音機おじさんは、愛を語らうのにうってつけのレコードをダビングしてくれた。果たしてチャーリー君の愛の告白はうまくいくのだろうか?
朝鮮戦争下の韓国で誕生日を迎えた少年を描くCGアニメ。兵隊さんの勇ましさに憧れ、墜落機から拾ったネジを鉄道に踏ませて磁石を作ったり、小高い丘から手榴弾に見立てた石ころを道行く人に投げつけたりして1人で遊んでいる。ひとしきり遊んで、家に帰ってみると軍事郵便が。中には軍服やドッグタグなど、兵隊さんコスプレグッズが一式詰められていた。喜び勇んでそれらを着込んで、庭で兵隊さんごっこにいそしむのだが……。
信号を無視し、暴走をつづけるスポーツカー。踏切で一旦停止したところで、カメラが切り替わると、後部座席で子どもたちが必死でペダルをこいでいた。で「児童の不法就労はやめましょう」とのメッセージが流れる。
汚い、くさい、栄養価がない。あげくが、方向転換ができない(左に歩き出したら、そのまま直進するしかない)というカニ界の劣等生がプチ革命を起こすお話。この種は何世代経っても、一方向にしか歩けない。つまり、一度歩き出したら地球を一周することしかできないし、左右を石に挟まれた場所ではピンボールのように右往左往するしかなかい。ところが、ある事件が起きた瞬間、1匹が火事場の馬鹿力を発揮。なぜか方向転換できてしまった。
シッポを悪魔に乗っ取られたネコのひと騒動。
とりあえず、まずは作品の概要から。なんでも、フェルナンド・カブサッキという、ロバート・フリップに師事していたアルゼンチン人ミュージシャンが作った架空のサントラに、総勢19人のアーティストが映像をつけた作品なのだとか。工程がまったく逆になってしまったとはいえ、一応、本物のサントラになったわけだ。
肝心の内容は、音響系サウンドをBGMに、実験映像やら、サイケデリックやら、エロやら、ナンセンスやら、異常にローファイなアニメ、実写をズルズルと50分間垂れ流し。しかも、映像は→のとおり。言ってしまえば「キ●ガイエキスポ」だ。オブジェクトアニメに癒しやら、手作り感覚やらをお求めの方々には正直オススメしかねる。
みんな大好き『チェブラーシカ』のロマン・カチャーノフ監督の3作品、『ミトン』『レター』『ママ』を収録したDVD。取り上げるべきは、もちろん『ミトン』だろう。
冬のある日。主人公の女のコは、同じアパートの友だちから子犬をもらってくるが、お母さんから返してこいと言われてしまう。その後、お母さんは読書に夢中になってしまう。しかたがないから、ミトンを子犬に見立てて遊んでいたら、あら不思議。ミトンが子犬に大変身。大喜びでひとしきり遊んだり、ドッグレースに参加したりしたあと、家に連れて帰り、お母さんに隠れてミルクをあげようとすると、子犬は元のミトンに……。ガッカリする女のコに気づいたお母さんが、友だちから子犬をもらってきてくれる。
本当なら土曜日の山村浩二監督のトークイベントに行きたかったのだが、仕事の都合で断念。リベンジということで、本日17:00~のFプログラムを観に行く。100席前後のところに6割程度の客入り。更新頻度が少ないこともあるのだろうが、このサイトのアクセス数がイマイチ伸びない理由の一端を見た気がする。


ルーマニア生まれのHarvie Krumpetは障害のせいで学校でイジめられる。それを見かねた母親は、学校からHarvieを引き取り、自宅で「世の事実(fakt)」について教育する。以降、Harvieは首からノートをぶら下げ、見つけたfaktを書き留めるようになる。その後のHarvieはというと、気の触れた母親に強盗と間違われて、家中追い回されたり、両親が焼死してしまったりと、災難続き。第二次大戦のドイツ軍侵攻にあい、移民したオーストラリアでもそれは変わらない。どんな仕事をしてもうまくいかない。雷に打たれる。事故で金玉をなくしたため、子どもができない。アルツハイマーが進行し、老人ホームで余生を送るようになる。しかし、Harvieはその中でさまざまなfaktを見つける……。決してうまくいっているとはいえない人生ながら、どっこいその中に生きていく意味(作中でいうなれば「fakt」、あとは、それを探し続けるということ)を見出していくHarvieの姿を淡々と描いた作品。まったくもって
テレビアニメ
サイクリングをしている父と娘。岸辺にたどり着くと、父はボートを漕ぎ出してどこかへ行ってしまった。その後、娘は何度もその岸辺を訪れてみるものの、父は帰ってこない。やがて年老い、川の水も枯れてしまったが……。アートアニメ・ストレンジアニメの作品紹介を始めるに当たって、いきなりチェコスロバキア・正常化政策時代のシュールレアリスト系などを取り上げるのもどうかと思い、まずはわかりやすい作品をピックアップしてみた次第。誤解を恐れず言ってしまえば、何もない作品。セリフもなければ、色もない(モノクロではないが、セピア調)。父と娘の表情、心情を表すようなシーンもない。ついでに、上映時間も極端に短い。ただ、来る日も来る日も自転車を漕ぐ様子を真横から押さえたシーンが続くだけ。なのに、感動させられる。淡々と似たようなことを繰り返すシンプルな映像が、監督の言うところの「密やかだけれども強い願い」(ライナーノーツより)の強度を増している。その願いが叶った瞬間、少し泣きそうになった。2001年アカデミー賞短編アニメーション部門受賞。2000年/英蘭合作/カラー/8分。
アメリカの由緒正しき変態バンド・
1989年のアカデミー賞短編アニメ部門を受賞した人形アニメ。微妙なバランスを保って浮いている板の中央に輪になって立つ5人の男。1人が1歩前に出ると、ほかの4人も前に。そうしないと、板が傾き、誰かが落ちてしまうから。そして、5人は板の端まで歩を進め、釣りを始める。すると、1人が謎の木箱を釣り上げる。とたんに板のバランスが崩れそうになったので、1人と箱を残して4人が大移動。しかし、箱を1人に独占させておくのは口惜しい。そこで、ほかの1人が一歩後ろに退き、板を傾ける。箱は滑り出し、その男の手元に。再びバランスが崩れそうになったので、ほかの3人はまたも移動……。以後、その応酬。まるで上手な人がプレイするパズルゲームの画面みたい。板の傾きにあわせて、箱の滑るスピード・角度と男が走るスピード・角度を緻密に計算し、一切、ムダと破綻のない映像を実現している。これをコマ撮りしたかと思うと、それだけで尊敬。マヌケながらもド切ないオチも○。DVD
蝶の幼虫が興味本位でバトミントンのシャトルの中に。それを拾いに来た女の子がそのままバトミントンをプレイ。幼虫は図らずも蝶になる前に空中浮遊を体験することに。だから、タイトルは「ガガーリン」。クソがつくほど呑気で、どこかズレてるロシアアニメは無条件に好き。かわいくってしかたがない。